雄性不稔利用によるアルファルファの育種に関する研究 : 雑種強勢と組合わせ能力
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概要
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雄性不稔を利用してハイブリッドアルファルファの育種をする場合に,雑種強勢がどの程度発現するか,自殖の可能性の有無によって一般組合わせ能力と特定組合わせ能力の推定値が異なるかどうか等を明らかにするために次のような試験を行った。広い変異を持つ雄性不稔(細胞質)の17個体と正常19個体との交雑後代108,正常15個体と正常18個体との交雑後代158および正常15個体のうち13個体の自殖後代を用いて3反復乱塊法で生産力検定(畦幅50cm,株間25cmの個体植条件)を行った。結果は次のとおりである。1.自殖後代の収量は他系統との交雑後代に比較して,初年目合計,2年目合計および2カ年合計でそれぞれ80.4%,74.6%および76.2%で著しい低収を示した。2.雄性不稔系統を種子親とするMS×NOr後代は正常系統を種子親とするNOr×NOr後代よりも多収を示したものが多かった。MS×Nor後代108のうち23後代(21.4%)が2カ年合計収量でDuPuitsを20%以上上回わり,9後代(8.4%)が30%以上上回った。3.秋の草勢の一般組合わせ能力は特に重要と認められた。草丈,収量では特定組合わせ能力もかなり重要で,初年目および2年目とも1番草収量の特定組合わせ能力が比較的重要性が高かった。4.MS×NorとNorXNorをプールした場合,全形質とも雌親に基づく分散σ^2_Fが雄親に基づく分散σ^2_Mよりも大きかった。MS×Norの秋の草勢,初年目2番草収量および2年目3番草収量ではσ^2_Mがσ^2_Fよりも'大きく,雄性不稔系統を雌親とした場合に雄親の一般組合わせ能力の重要性が高い事を示した。5.秋の草勢および初年目2番草収量の遺伝子型分散の全分散に占める割合は61.8%〜69.7%とかなり高く,これらの形質ではσ^2_<MF>が小さい傾向を示した。
- 日本育種学会の論文
- 1976-09-01
著者
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