野生花蜂類によるアルファルファの採種 : 第1報 アルファルファハキリバチの巣の構造と葉片裁断による被害
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概要
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本論交はアルファルファの採種のためアメリカ合衆国より導入したアルファルファハキリバチMegachile rotundata (FABRICUS)の巣の構造と葉片の裁断による被害度合について記述した。アルファルファハキリバチが営巣に使用するアルファルファの葉片数を基に,平均産卵数を28個として,最大の被害が出たと仮定して,1個体の蜂がもたらす被害葉片数を求めると476枚で,その重量は1.0456gになる。ポリネーターとして1エーカーには1,000-2,000個体が必要だとされているので,これらの蜂によってもたらされる被害総重量は約1-2kgになる。本種は生理機能が失われかけた黄色葉片を好むので(60%以上),実際の被害総葉片重は0.4-0.8kg以下になると考えられる。この重さの葉片を1エーカーの畑からランダムに裁断するので,本種の葉片裁断による被害はアルファルファの生理障害を起こさせるようなものではないことは明らかである。また,アルファルファの間に混入して配置したアカクローバ,シロクローバ,スイートクローバ,ヘアリーベッチ,コモンベッチ,ルーピン,オーチャードグラス,馬鈴薯,てんさいからは枯死しかけたルーピンの1株からわずか11枚の葉片が裁断されただけで,他の植物体からは1枚の葉片も裁断しなかった。外国ではアルファルファだけを好んで訪葉することが知られているので,他植物についても葉片裁断による被害は全く問題にならないと考えられる。
- 日本草地学会の論文
- 1973-07-25
著者
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