トールフエスクおよびペレニアルライグラスの生育と水分代謝に対する高地温の影響
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概要
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1)寒地型牧草の夏枯れに対する抵抗力の草種間差異の生理機構を明らかによる目的で,トールフェスクとペレニアルライグラスの水分代謝におよぼす高地温の影響をしらべた。2)両草種とも,高地温によって生育が低下したが,気温の低い場合には生育低下の程度の草種間差異は明らかでなく,気温の高い場合に草種間差異が現われる傾向が認められた。3)気温が低い場合には,両草種とも高地温により葉身水分含有率が低下することはなかったが,気温が高くなるとペレニアルライグラスは葉身水分含有率が低下する傾向が認められた。しかし,トールフェスクではその低下は認められなかった。4)両草種とも,高地温によって気孔の開度が変化する傾向は認められなかった。5)ペレニアルライグラスは高地温によって蒸散が落しく低下することが認められた。これに対してトールフェスクは,高地温による蒸散の低下が比較的少なかった。6)ペレニアルライグラスが高地温,高気温時に葉身水分含有率が低下するのは,高地温による根の吸水力の低下程度がトールフェズクよりも大きいことが原因と推定され,同草種がトールフェスクよりも夏枯れに弱い理由のひとつと推測される。
- 日本草地学会の論文
- 1976-12-25
著者
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