光反応性牧野草種子の休眠覚醒機構 : 第1報 エゾノギシギシ種子の発芽に対する光と温度の相互効果
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概要
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典型的なフィトクローム型光発芽機構を有するとされているエゾノギシギシ(Rumex obtusifolius,L.)の貯蔵温度および期間を異にした種子を用いて,その光発芽性に対する発芽温度の影響を追究し,光発芽における光と温度の関係を検討した。1.エゾノギシギシ種子は,恒温条件下においては,光の存在なしでは発芽がみられなかった。2.エゾノギシギシ種子の光発芽は,完熟採取直後では,18℃〜20℃の発芽温度条件下でみられただけであるが,風乾貯蔵期間の経過とともに,それよりも高温域へ徐々に拡大した。3.光発芽温度域の拡大は,10℃貯蔵条件下では遅延したが,より高温の室温貯蔵条件下では促進された。しかし,それらの貯蔵温度条件は,種子発芽の光要求性には何ら影響を与えなかった。4.採取場所を異にした種子の間では,同一貯蔵条件のもとでも光発芽温度域の拡大の程度には大きな差異がみられた。5.18℃〜20℃の発芽温度条件下での光発芽の,発芽速度パターンは,採取後風乾貯蔵日数によっても,貯蔵温度条件によっても変化せず,一定していた。6.しかし23℃以上の高温部での光発芽の速度パターンに,高温部への光発芽温度域の拡大程度に応じて,速くなることが認められた。そして最終的に休眠が覚醒した段階,すなわち高温部においても光発芽が完全にみられる時点では,温度が高いほど光発芽速度は速くなることが明らかとなった。
- 日本草地学会の論文
- 1974-11-25
著者
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