パニカム類を主とした暖地型牧草の越冬性検定法
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
パニカム類を主とした暖地型牧草の越冬能力の草種間差異の簡易検定法について検討した。結果は次の通りである。1)冬期平均5℃の温度条件下の圃場での残存株の経時的な堀り取り萠芽実験の結果,越冬期間途中での萠芽程度は,その低温遭遇期間の長さとほぼ比例し,かつ,萠芽実験の結果と圃場における越冬後の萠芽状態とが,ほぼ完全に一致した。2)萠芽実験の堀り取り時に,TTC呈色反応で稈基部組織の活力を見た結果,萠芽程度と呈色反応とは比例的な関係が認められた。3)各草種の幼植物の低温抵抗性を検討した結果,各草種の越冬能力の差異と幼植物の低温抵抗性の差異との間にパラレルな関係があることが認められた。4)幼植物の低温抵抗性の発現を左右する要因として,低温処理期間,処理前の幼植物の生育温度,さらには幼植物の生育ステージ(葉期)が見出された。また,土壌水分の多寡も影響するようであるが,今後の検討を要する。5)各草種の越冬能力を比較した結果,スイッチグラス類,ジャイアントパニック類は平均気温5℃前後では完全に越冬性を示し,カラードギニアグラスのなかでも中国農試がアメリカから取り寄せたクライングラスは,ダリスグラス,バヒアグラスとほぼ同等の能力を示した。これらの草種より越冬能力は低いが,冬期の相当期間中生存していたものとして,カラードギニアグラスのなかのN780およびシンガポールがあった。さらに,カラードギニアグラスのモロッコ,バンバチ,カラハリにも若干の冬期間生存力が認められたが,他のパニカム類は冬期間の生存はほとんど認められなかった。
- 日本草地学会の論文
- 1974-11-25
著者
関連論文
- 雑草研究におけるデータベースの利用
- シコクビエ種子の休眠および発芽に関する研究 : I.発芽に対する光と温度およびその相互作用
- 牧草類の切穂の人工培養による種子の形成と発芽習性 : I.数種寒地型牧草における切穂の人工培養による種子形成の可能性
- ソルガム幼植物の低温障害に対するmembrane stabilizerおよび多価アルコールの効果
- 暖地型牧草種子の低温発芽促進に関する研究-1-Chloris属およびEragrostis属種子の低温発芽促進
- トールフエスクおよびペレニアルライグラスの生育と水分代謝に対する高地温の影響
- 草地雑草エゾノギシギシの登熟過程における種子形成と発芽習性の変化
- 光反応性牧野草種子の休眠覚醒機構 : 第4報 オーチャードグラス種子の登熟経過と発芽習性
- 酸化酵素阻害剤などのケイヌビエ種子の休眠に対する覚醒効果
- 光反応性牧野草種子の休眠覚醒機構 : 第3報 エゾノギシギシ種子の脱粒後風乾過程における発芽習性の変化
- 光反応性牧野草種子の休眠覚醒機構 : 第2報 エゾノギシギシ種子の登熟経過と発芽習性
- 光反応性牧野草種子の休眠覚醒機構 : 第1報 エゾノギシギシ種子の発芽に対する光と温度の相互効果
- パニカム類を主とした暖地型牧草の越冬性検定法
- ソルガム幼植物の低温障害に対するステロール, アルコールヂメチルスルフォキシドの影響
- 栄養生長と生殖生長 : 牧草の老化と関連して
- 耐肥性品種-イネ科飼料作物の高位生産と関連して-
- 土壌水分条件と夏作飼料作物の生育との関係についての二三の実験