イタリアンライグラス(Lolium multiflorum LAM.)とトールフェスク(Festuca arundinacea SCHREB.)F_1雑種の農業的特性
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概要
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イタリアンライグラスと卜-ルフェスクF_1雑種の農業的特性を評価し,属間F_1雑種品種開発の基礎的資料とするために,両親種とこの属間F_1雑種系統を供試し,これらの初期生育及び農業的形質について調査した。F_1雑種系統の播種後30日目における生育をみると,草丈や分げつ数は共にイタリアンライグラスに比べると小さい値になった。一方,トールフェスクと比較すると,草丈は多くの場合それぞれの親品種と同程度かこれよりも低くなったが,系統によっては卜-ルフェスクの親品種より高くなったものもみられた。またF_1雑種系統の分げつ数は,半数以上の系統で卜-ルフェスクの親品種よりも増加した。F_1雑種植物の草丈は両親よりも低くなった。しかし出穂期の個体当り乾物収量は,播種1年目ではイタリアンライグラスより低かったが,トールフェスクよりもやや高く,そして播種2年目においては,トールフェスクの播種2年目及びイタリアンライグラスの播種1年目の収量とほぼ同程度であった。乾物率は播種1年目では両親とほぼ同様であったが,播種2年目には卜-ルフェスクよりもやや高くなった。主成分分析の結果,F_1雑種系統の収量は卜-ルフェスクの親品種に似かよっている傾向がみられたが,系統間で変異がみられ,中には卜-ルフェスクの親品種より高収となった系統も認められた。以上の結果から,イタリアンライグラスと卜-ルフェスクの交雑において,交雑する品種・個体の遺伝子型を適切に選定することにより,優れた農業的特性を持つF_1雑種の育成が可能であると考えられた。
- 日本草地学会の論文
- 1990-04-30
著者
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