イタリアンライグラス(Lolium multiflorum Lam.)の耐倒伏性及び種子収量に対する選抜効果 : 3.選抜系統の耐倒伏性,種子収量及び生産力評価
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概要
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イタリアンライグラスの採種栽培における耐倒伏性を高める選抜が有効か否かを確認した。供試材料は第1報及び第2報と同じイタリアンライグラスの直立型で耐倒伏性の強いワセアオバと,中間型で耐倒伏性の弱いワセヒカリ,これに加えて,第2報と同様に両品種とも,耐倒伏性・種子収量・耐倒伏性×種子収量・短密穂・直立葉・下垂葉の形質についての6選抜系統であった。選抜系統の後代種子を,1981年9月中旬に採種栽培試験圃場及び生産力検定圃場に播種した。耐倒伏性選抜系統については,ワセアオバ及びワセヒカリとも1983年9月中旬に採種栽培試験圃場及び生産力検定圃場に再度播種して試験した。倒伏調査は,評点法により1982年は5月4日から6月16日まで5回,1984年は5月11日から6月2日まで5回行った。1982年の結果では,選抜系統及び原品種とも開花後10日目から3週間目ころにかけて,倒伏が著しくなった。ワセアオバでは系統間差及び原品種との耐倒伏性の差が顕著で,特に耐倒伏性選抜系統及び直立葉選抜系統の耐倒伏性が優れていた。一方,ワセヒカリでは系統間差及び原品種との耐倒伏性の差は小さく,6月16日の耐倒伏性×種子収量を除くすべての選抜系統の耐倒伏性が原品種より優れていたに留まった。1984年の結果では,両品種とも耐倒伏性選抜系統と原品種との倒伏程度は著しく異なり,耐倒伏性に対する選抜効果は顕著であった。1982年の結果では,両品種ともいずれの選抜系統も原品種との間に種子収量について有意差は認められなかった。しかし1984年の結果では,ワセヒカリの耐倒伏性選抜系統が原品種より有意に多収を示した。生草収量に関する1982年の結果では,ワセアオバ及びワセヒカリとも選抜系統と原品種との間に有意な差は認められなかった。また,1984年に行った耐倒伏性選抜系統と原品種との比較試験結果でも,ワセアオバ及びワセヒカリとも選抜系統と原品種との間に有意差は認められなかった。以上の結果より,耐倒伏性の選抜はワセアオバでは極めて効果的で,ワセヒカリでもかなりの選抜効果が期待できるが,種子収量に対する選抜効果はほとんど認められない。さらに,耐倒伏性及び種子収量に対する選抜は,牧草収量を高める選抜にとって必ずしも不都合ではないことを例示するものである。
- 日本草地学会の論文
- 1989-03-31
著者
-
鈴木 信治
草地試験場:(現)パシフィックコンサルタンツ株式会社
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杉信 賢一
草地試験場
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杉信 賢一
草地試験場 育種部
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杉信 賢一
パシフィックコンサルタンツ株式会社
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鈴木 信治
鹿児島県農業試験場
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小松 敏憲
Kagoshima Prefectural Agrocultural Experiment Station
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小松 敏憲
草地試験場:(現)鹿児島県農業試験場
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