イタリアンライグラスとトールフェスクの交雑親和性
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概要
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寒地型イネ科牧草のイタリアンライグラス(Lolium multiflorum LAM.)とトールフェスク(Festuca arundinacea SCHREB.)との属間交雑育種を効果的に推進するために,両種の交雑親和性に関する3通りの実験を行った. 最初の実験では,イタリアンライグラス3品種とトールフェスク12品種・系統間で2か年(1980.1983)にわたって交雑を行った.その結果,交雑親和性(雑種個体数/穂)は2か年とも交雑組合せ間で大きな変異が認められ,1980年には16.4〜103.7,1983年には17.3〜145.0であった.また,トールフェスクの中に,両年とも高い交雑親和性を示す品種が認められた. 第二の実験では,交雑親和性に及ぼすイタリアンライグラスの遺伝子型の影響をみるために,イタリアンライグラス4クローン(遺伝子型)とトールフェスク6クーロン(遺伝子型)との交雑を実施した.交雑親和性は,母親のイタリアンライグラスの遺伝子型によって有意に異なったが,トールフェスクの遺伝子型では有意な差は認められなかった. 第三の実験では,イタリアンライグラスの品種ワセアオバのW-2クローンは交雑親和性が非常に高かったので,その遺伝性をみるために,W-2クローンの自殖次代植物(W-2/S)とトールフェスクのクローンとの間で交雑を行った.その結果,14個体のW-2自殖次代植物とトールフェスククローンとの稔実卒は平均84.5%,範囲62-96%で,大部分の個体が高い交雑親和性を示した.
- 日本育種学会の論文
- 1990-06-01
著者
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