寒地型牧草地からシバ型草地への植生の移行期におけるエネルギーの流れ : II.エネルギー変換効率

概要

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寒地型牧草地からシバ型草地への植生の移行期におけるエネルギー変換効率の経年変化を検討した。この時期,草地の植生は寒地型牧草が優占する部分(寒地型部分)と,シバの現存量が経年的に増加し優占草種となった部分(シバ型部分)に分化した。1)全短波放射熱量から一次純生産量への年間平均エネルギー変換効率は,草地全体では経年変化は見られなかったが,寒地型部分では0.66から0.46%と経年的に低下し,シバ型部分では0.42から0.56%に経年的に増加した。2)一次純生産量から採食量への年間平均エネルギー変換効率は寒地型部分で29.5〜32.0%,シバ型部分では34.2〜35.3%であった。3)一次純生産量から牧草消失量(牧草枯死部がリターとなって分解消失した量)への年間平均エネルギー変換率は,寒地型部分で64.4から77.3%に経年的に増加し,シバ型部分では72.7から41.8%に減少した。4)寒地型牧草地からシバ型草地への植生の移行期には,寒地型牧草が優占する部分では一次純生産量が減少し,採食量及び牧草中に蓄積されたエネルギー量も減少した。シバが優占する部分では一次純生産量及び採食量は増加し,シバの体内に蓄積されたエネルギー量も増加した。
日本草地学会の論文
1989-04-30