ネザサ(Pleioblastus variegatus Makino)の生育特性 : 3.放牧利用下のネザサ型草地における乾物生産量および粗蛋白質の季節的推移
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概要
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大分県久住地域のネザサ型草地において,放牧下での乾物生産量および粗蛋日質舎量の季節的推移を明らかにした。枯死部を含まない全地上部重は4月あるいは5月上旬から急激に上昇し,7月から8月にかけて約300gDM/m^2となり最大値を示し,その後徐々に低下した。全地上部のうち,ネザサ葉部はおよそ1/3を占めた。全地上部重の変化速度は,5月前後で最も大きくなり,その後低下した。年間地上部乾物生産量は324-378gDM/m^2,年間被食量は217-252gDM/m^2であり,全地上部利用率は67%であった。ネザサ型草地の全地下部菫の54-86%を占めるネザサ地下部の各部位は,春から秋にかけて徐々に増大する傾向を示し,とくに地下茎において著しかった。春から秋にかけてネザサ地下部車は319-649gDM/m^2増大した。地上部組蛋白質舎量は,ネザサ,トダシバ,ススキのいずれも葉,茎の部位に関わらず4月から5月の出芽期に高く,その後低下して7月以降は安定した推移を示した。他草種に比べネザサの葉部は高い粗蛋白質舎量を示し,4月には20%以上の値であった。茎部は,3草種とも葉部に比較して低かった。ネザサの地下茎,直立茎基部の粗蛋白質舎量は,夏季に低く秋季に高くなる傾向を示した。
- 日本草地学会の論文
- 2000-01-31
著者
-
小山 信明
近畿中国四国農業研究センター
-
萩野 耕司
中国農試
-
萩野 耕司
畜産草地研究所
-
小山 信明
九州農業試験場
-
山本 嘉人
九州農業試験場
-
進藤 和政
九州沖縄農業研究センター:(現)畜産草地研究所山地畜産研究部
-
小山 信明
(現)畜産草地研究所
-
荻野 耕司
農水省九州農試
-
進藤 和政
九州農業試験場
-
萩野 耕司
九州農業試験場
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