耕地および採草地の飼料生産過程におけるエネルギー利用効率

概要

論文の詳細を見る
オオムギとトウモロコシによる二毛作耕地と,オーチャードグラスの永年採草地で,施肥量,施肥形態を変えて栽培試験を行い,これら飼料作物の一次生産から,サイレージ・乾草調製を経て家畜に達するまでのエネルギーの流れを5年間にわたり測定し,下記の結果を得た。1)耕地ではきゅう肥施用区,特に液状きゅう肥多量区(A4区)の収量が高かった。5年平均値でA4区の作物は1m^2当たり年間10,420kcal(43.62MJ)の熱量一次生産を行い,このうち5,010kcal(20.97MJ)が家畜の可消化熱量になった。この間の全短波放射量に対する熱量一次生産の効率(E_<13>)は1.06%,可消化熱量の生産効率(E_<16>)は0.51%であった。2)これに対して採草地では一次生産レベルにおいては化学肥料+溶燐区(G1区)の効率が高く,5,532kcal (23.16MJ)の熱量生産を行ったが,可消化熱量レベルの収量ではG3区(液状きゅう肥+過燐酸石灰区)が2,834kcal (11.86MJ)で最も高くなった。この際の一次生産効率(E_<13>)は0.56%(G1区),可消化熱量までの生産効率(E_<16>)は0.29%(G3区)であった。3)一次生産効率(E_<13>)と,一次生産量に対する収穫量の割合(E_<34>)は二毛作耕地が採草地より高く,消化率(E_<56>)は採草地が高かった。4)施肥形態の違いにもとづく熱量収量の経年変化の様式は作物によって異なった。オオムギでは固型状きゅう肥施用区が年を経ても初年度より高い収量を維持しているのに対し,化学肥料施用区は一方的に経年低下した。しかし,トウモロコシではいずれの施肥形態のもとにおいても収量は経年低下した。オーチャードグラスは両者の中間型をとり,きゅう肥施用区では4〜5年を経て初年度に近い収量にまで回復した。
日本草地学会の論文
1984-04-30

耕地および採草地の飼料生産過程におけるエネルギー利用効率

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク