3種類の採集方法による信州大学農学部構内のオサムシ科甲虫の種構成と季節変動
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概要
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信州大学農学部構内の演習林において,2005年4月から10月にかけて,3種類の採集方法(ピットフォールトラップ,ライトトラップ,ザルふるい法)によってオサムシ科甲虫の種構成と季節変動を調査し,これらの方法によって得られた結果を比較した.3つの採集方法で合計39種1627個体のオサムシ科甲虫が採集された.ピットフォールトラップによる採集個体数(1454)が,ライトトラップ(51)やザルふるい法(122)よりはるかに多かった.ザルふるい法による種数(21)はピットフォールトラップ(26)とあまり変わらなかったが,ライトトラップの種数(13)は少なかった.ピットフォールトラップの優占種は,アオオサムシCarabus insulicola,クロツヤヒラタゴミムシSynuchus cycloderus,クロナガオサムシLeptocarabus prorocerulusで,捕獲個体の84.7%(1231個体)を占めた.ライトトラップでは,ケウスゴモクムシHarpalus griseus,ホソアトキリゴミムシDromius prolixus,メダカチビカワゴミムシAsaphidion semilucidumで,捕獲個体の70.6%(36個体)を占めた.ザルふるい法では,ニセマルガタゴミムシAmara congruo,ケウスゴモクムシ,コゴモクムシHarpalus tridensで,捕獲個体の63.1%(77個体)を占めた.オサムシ亜科,ナガゴミムシ亜科,アオゴミムシ亜科の種はピットフォールトラップで多く捕獲され,アトキリゴミムシ亜科はライトトラップ,マルガタゴミムシ亜科とゴモクムシ亜科はザルふるい法で多かった.ピットフォールトラップによって採集されたサンプルと他の2つの採集方法のサンプルとの類似度(a)は極めて低かった.これらの結果をもとに3つの採集方法の用い方について検討した.
- 日本環境動物昆虫学会の論文
- 2007-06-07
著者
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中村 寛志
信州大学農学部AFC昆虫生態学研究室
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Suttiprapan Piyawan
Laboratory of Insect Ecology AFC
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中村 寛志
Education And Research Center Of Alpine Field Science Faculty Of Agriculture Shinshu University
-
Nakamura Hiroshi
Shinshu Univ. Nagano
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