北アルプスの高山から里山にかけてのチョウ類群集とモニタリングのあり方
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概要
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筆者らは、2003年6月から2004年5月にかけて信濃川水系犀川流域の標高2,600mから600mにかけての7箇所(奥又白地区と明神地区は田下ら(2006)参照)において,ラインセンサス法によりチョウの種と個体数を数えるモニタリング調査を実施し,1992年7月から1994年9月の調査結果(田下・市村,1997)と比較した.その結果,全調査区の合計で69種, 5,687.53個体が確認された.1992-1994調査と2003-2004調査では,種数の変化はわずかであったが,個体数は,蝶ケ岳A, B,奥又白,明神で半減した.松本A, B, Cでは,同程度であった.H'や1-λの値は,個体数の変動の影響を受けて変動したが,ERやHIは,高山帯の蝶ケ岳から亜高山帯の明神で変化は認められなかった.奥又白と明神は,森林化により,ERやHIの値は原始段階を示したが,種多様性は減少する傾向が見られた.平地の松本Aは,帰化植物による森林化が進み,ERやHIの値は原始性の要素が低下し種多様性も減少した.また,松本B, Cは,草地の維持管理が行われ、稀少な種が保全されたことから,ERやHIの値の原始性の要素が向上した.これらから,平地の草原に多くの貴重な種が生息し,草原を維持することの大切さが認識された.特に高山帯や亜高山帯で調査年により個体数の変動が大きく,1-λなどの種多様性の指標に影響がでることから,チョウ群集を評価する際には,個体数の影響を受けにくくするために種に環境の重み付けをしたERやHIと合わせて評価するのが妥当と考えられた.
- 日本鱗翅学会の論文
- 2007-03-30
著者
-
福本 匡志
長野県病害虫防除所
-
中村 寛志
信州大学農学部AFC昆虫生態学研究室
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中村 寛志
Education And Research Center Of Alpine Field Science Faculty Of Agriculture Shinshu University
-
Nakamura Hiroshi
Shinshu Univ. Nagano
-
中村 寛志
信州大学農学部
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