風化花崗岩山地源流域の渓流水NO_3^-濃度形成に対する水文過程のコントロール
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
風化花崗岩山地源流域において,渓流水中のNO_3^-濃度形成に対する水文過程のコントロールの解明を目的に観測を行った。観測流域は斜面・堆砂地・河道から構成される。斜面内の土層-基岩境界面上で発生する飽和側方流の流出量,堆砂地地下水位および流域下端からの流出流量の観測に加え,各地点で水質観測を行った。渓流水中のNO_3^-濃度は流域内の観測地点で最も低く,また流量変動に対する応答をみると,流量増加時には濃度が上昇し,流量減少時には低下した。斜面部での水収支を考慮すると,降雨の約49%が基岩内に浸透し,この基岩浸透地下水述基底流出を構成する主要な流出成分であった。洪水流出時には低いNO_3^-濃度をもつ基岩浸透地下水に加えて,比較的NO_3^-濃度の高い堆砂地地下水が流出に寄与するため,渓流水中のNO_3^-濃度は上昇する。森林流域からのNO_3^-流出には流域の水文過程によるコントロールが大きく,特に基岩内からの地下水流出が,基底流出水のNO_3^-濃度を低く維持している。
- 日本森林学会の論文
- 2004-02-16
著者
-
小杉 賢一朗
京都大学大学院農学研究科
-
大手 信人
京都大学大学院農学研究科
-
勝山 正則
京都大学大学院
-
小杉 賢一朗
京都大学大学院農学研究科森林科学専攻山地保全学分野
-
小杉 賢一朗
京都大
-
大手 信人
東京大学大学院農学生命科学研究科
-
勝山 正則
総合地球環境学研究所
-
大手 信人
京都大学大学院農学研究科地域環境科学専攻
-
大手 信人
京大農学研究科
-
小杉 賢一郎
京都大学農学部
関連論文
- 山地源頭部における土壌間隙水圧の空間分布の観測
- 谷頭凹地におけるパイプ流の流出機構の検討 : 京都大学芦生演習林内トヒノ谷流域におけるパイプ流量,水温,土壌間隙水圧の観測
- 森林小流域の降水浸透過程における溶存有機態炭素の動態(森林生態系における物質循環研究の新しい展開)
- H^+収支を用いた森林植生が酸中和機構に与える影響の評価
- 森林の成立に伴う流域内酸中和機構の変化 : 植生と土層厚が酸中和機構に与える影響
- 山地源流域におけるパイプ流出特性の変化
- 芦生演習林内トヒノ谷におけるパイプ流が洪水流出機構に及ぼす影響
- 急傾斜な風化花崗岩森林斜面の流出2次ピーク発生についての数値シミュレーション
- 土壌-河川-海生態系における溶存有機炭素(DOC)の動態と機能
- P9. 風化花崗岩谷壁斜面に発生する飽和側方流の水理学的特性の解析(日本地形学連合2005年秋季大会)