人物の所在情報の取得あるいは秘匿の今日的意義(テーマ3 情報化社会における制度設計)
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概要
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ユビキタスネットワーキングの普及に伴い,情報面でのプライバシー侵害が問題になるようになってきた。本稿では,まず,船越,青柳,小林の理論をレビューした。船越は,「存在や行為の痕跡」を各主体が制御することが必要だが,実現については難しいので議論が必要であるとした。青柳は,不可侵私的領域に属する情報については法的強制力を行使してでも保護すべきだが,それ以外の部分では自由な流通を許して,電子商取引などを隆盛に導くべきだと主張した。小林は,憲法13条により保障される基本的人権として「みだりに行動を記録されない自由」があるとした。筆者は,不可侵私的領域に属さない存在や行動の痕跡も,記録して統合すれば,個人のセンシティブな情報について確度高く推定できてしまうと考え,小林の考えにおおむね賛同した。RFIDなどを用いて存在や行為を記録することで目的を果たす,ユビキタスネットワーク社会ならではのシステムへの期待が高まっている。これらシステムの利用を全面否定せずに,「新しい法理」を形成していくしかないと考える。
- 2007-03-17
著者
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