勾配を利用した進化計算法による複数解探索

概要

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近年,単一の最適解または準最適解を高速に発見できる様々な進化的計算法が提案され,現実世界の組合せ最適化問題に適用されている.しかし,実数表現の問題では,計算量や解の品質の観点で単純な勾配法が効率的である場合も多い.また,実世界の問題では,単一の最適解だけでなく,複数の最適解および準最適解の発見が必要とされることがある.シェアリング遺伝的アルゴリズム(GAs)や免疫アルゴリズム(IA)など,複数解の同時探索を目的としたアルゴリズムも提案されているが,複数の解を高精度で発見することは困難である.本稿では,大域的な探索能力に優れる進化的計算法と局所的な探索能力に優れる勾配法とのハイブリッド,および,勾配を考慮した適応度計算により,多峰性の問題において,複数の最適解および準最適解を発見する方式を提案する.高次元の多峰性関数を用いた実験により,提案する方式は複数の最適解および準最適解を,高い精度でかつ効率的に発見できることを実証した.また,GAsとIAに準ニュートン法(QN)を組み合わせた実験により,GAsとQNのハイブリッド法は,IAとQNのハイブリッドよりもパラメータの設定が容易で,より効率的に全解発見を行えることがわかった.
2007-03-09