犬腫瘍に関する病理学的研究 : 1.乳房肉腫と肺癌腫
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概要
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犬の腫瘍としては珍らしい乳房肉腫と, 肺癌腫について病理学的に検査して次の結論を得た.第1例乳房肉腫犬, シェパード, 13才, 雌, 鹿児島市産, 犬の乳房に大林檎大の腫瘍が発生し, 手術により剔出したが, 再発しこれも剔出したが再々発し遂に犬は斃死した.剖検して乳房腫瘍の外に肺に鶏卵大の2個の転移性腫瘍が認められた.初発腫瘍は紡錘形細胞肉腫, 再発及び再々発腫瘍は巨大細胞肉腫乃至骨肉腫, と診断した.初発腫瘍の発生母組織は乳腺間質の結合織で再発, 再々発腫瘍も亦乳腺間質結合組織より化生して発生したものと推定する.第2例肺癌腫犬, 10才, 雌, 雑種, 鹿児島市産.肺のいたるところに粟粒大から鳩卵大迄の種々の大きさの灰白色柔軟な腫瘍が無数に播種状に散在し, その中に大きな腫瘍がところどころにあって何れも原発腫瘍らしく思われる.内腸骨リンパ節の一つにも同様の腫瘍が発生している.病理組織学的に腫瘍は乳頭性腺癌腫の像を呈し, その母組織は気管支上皮細胞で, 本腫瘍は肺のところどころに, 原発性多中心性に発生した腫瘍と考えられる.而してこれからリンパ道性に盛んに肺内に転移し, なお内腸骨リンパ節にも恐らくリンパ道性に転移したものと思われる.
- 鹿児島大学の論文
- 1966-12-26
著者
-
河野 猪三郎
Laboratory Of Verteinary Pathology
-
福吉 成典
(現)厚生省博多検疫所
-
福吉 成典
Laboratory of Veterinary Pathology
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