木造ならびに内装仕上げに木材を用いた鉄筋コンクリート造校舎の教室に対する教員のイメージ : 最近の木造学校校舎の教室環境に関する研究(IV)
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概要
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教師を対象に木造とRC造校舎の教室の印象をSD法によって分析した.質問項目はAppendix1に示したとおり30の形容詞対を用い, 各項目(形容詞対)は7段階評価した.得られた結果を要約すると以下のようである.1.校舎構造の異なる教室のイメージプロフィルを比較した.その結果, 新しい木造校舎はいずれの項目においても対象全校の平均値以上の得点であった.内装仕上げに木材をふんだんに使用したRC造の教室は対象全校の平均値に近かった.典型的なRC造の教室は, 全ての項目において「どちらでもない(得点4)」に近かった.竣工後30〜40年経過した古い木造の教室は, 得点が3(「やや…でない」)から5.5(「かなり…である」)の範囲に分布し, 質問項目(形容詞対)によって評価が分かれた.典型的なRC造の教室は全ての項目において得点4(「どちらでもない」)に近かったが, 古い木造の教室は高い評価を受けている項目から低く評価されている項目に分布していることが特徴であった.2.Appendix1に示した30の形容詞対を用いた因子分析の結果, センスがよく落ち着いているか(第1因子), 接触感がよく快適であるか(第2因子), 広くて効率感が高いか(第3因子)という3つの因子が教室イメージの評価因子として存在することが考えられた.3.竣工後3〜4年経過した新しい木造校舎の教室は, センス(第1因子), 接触感(第2因子), 効率感(第3因子)のそれぞれにおいて因子得点が大きく, 他種別(構造)のどの校舎の教室よりも好ましく受け取られていた.4.典型的なRC造校舎の教室は, センス(第1因子)と接触感などの快適性(第2因子)の両者の因子得点がともに小さかったが, 効率感(第3因子)には明確な傾向が認められなかった.このように教室の使用者である教師はRC造教室を好ましいイメージとして受け取っていない.5.内装に木材をふんだんに使用したRC造校舎の教室はセンス(第1因子)と接触感(第2因子)の因子得点が大きかった.特に, 内装に木質材料を使用しているがコンクリートの質感を生かした内装に仕上げている校舎は, センス(第1因子)の因子得点が他の教室にくらべて最も大きかった.しかし, 接触感などの快適性(第2因子)はむしろRC造校舎の教室に近かった.この結果は内装仕上げに木材を効果的に使用することによってRC造教室のセンスを向上させ得ること.を示唆している.6.竣工後30〜40年経過した古い木造校舎の教室は接触感などの快適性の因子得点は大きく, 竣工後3〜4年の新しい木造校舎の教室にほぼ匹敵した.一方, 効率感(第3因子)の因子得点は小さかった.以上のことから, 教室(校舎)のセンスを改善すれば, 快適性を備えた教室の実現が可能であると考えられ, 典型的なRC造校舎の教室より好ましい教室環境の創生が期待できる.また, 典型的なRC造校舎の教室に木材や木質材料を効果的に用いれば, より快適な教室環境を実現できる可能性が確認された.
- 1994-03-25
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