木造校舎教室内の炭酸ガス濃度と換気について
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概要
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近年建築された木造校舎は, 意匠的にもすぐれており, 実際に使用している子どもや先生からも良い評価を得ている.また, 既報のように温湿度環境においてもすぐれており, 特に冬季に快適な教室環境を提供している.その温熱環境は校舎全体のエアータイトな仕様に大きく依存している.一方, このような気密的性質が向上していることを考えると, 冬季においては室内空気の換気が重要問題として浮かび上がってくる.実際に換気の実態を調査した結果, 以下のことが明らかとなった.1)冬季教室内のCO_2濃度は, 「学校環境衛生の基準」に示された0.15%という「それ以下が望ましい値」よりも高くなり, 0.2%〜0.3%に達する.しかし, 換気に留意することによって0.15%以下の水準に維持可能であろう.2)開放型灯油ストーブを使用した場合, CO_2濃度は短時間の内に約0.4%に上昇する.また, 最高濃度はRC造教室では0.37%, 木造教室では0.4%となりRC造教室よりやや高い.3)暖房時の換気回数は木造校舎, RC造校舎の教室ともに約3回/hであった.一方, 暖房していない場合には1〜1.4回/hの換気回数であった.木造校舎の気密的性能はRC造校舎よりやや高いと判断された.4)開放型灯油ストーブを使用し, かつ, 換気によって0.15%以下の濃度に抑えるためには, 換気回数を約10回/hとして維持しなければならない.これは現実には実現不可能である.以上のように, 近年の木造校舎はRC造校舎なみか, それ以上の気密性を有しており, 換気に関しては木造だからと言って区別してはならない.また, 開放型灯油ストーブを使用している場合には, 自然換気に依存するだけでは教室の換気は極めて不十分な状態にある.暖房器具の早急な改善が求められる.また, ストーブを使用していない時にも, 欄間開放や30分おきの新鮮な外気の導入等によって換気回数を2.3回/h程度に高めることに心がける必要がある.
- 1992-03-30
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