固定床水路に堆積した桜島降灰土の掃流機構
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概要
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本研究では, 固定床上に堆積した降灰土の流送特性を降灰土の特性を考慮しながら, 主に実験的な検証を行った.結果を要約すると次のようになる.1.降灰土は角張って形状は複雑であり, 粒子径は鹿児島市街地付近では概ね0.1mm〜1.0mm程度のものが多く, 比重は2.65〜2.71と一般の砂よりもやや大きな値を示す.比重がやや大きい降灰土にも係わらず水中での沈降速度はむしろ降灰土の方が幾分小さい.これは降灰土の形状特性によるものと考えられる.2.降灰土が堆積した水路の流速分布は自由水面近傍を除けばほぼ対数法則で近似され, 一般的な粒度の降灰土が堆積した固定水路は滑らかな水路の領域である.3.固定水路に堆積した降灰土を流水で流送するに必要な限界掃流力は砂土よりも若干大きく, これは粒子形状の違いに起因すると考えられる.水路中に堆積した降灰土は, 送水が停止して水路底に堆積した状態では降灰土は乾燥過程において細粒子が固結し合い凝集力を増加するが, 限界掃流力に大きな差異がなかったことから, 一旦水に接すれば直ちに元の粒子結合状態に戻ると思われる.4.水路に堆積した降灰土は限界掃流力以上の掃流力が作用する水理条件の場合には砂漣を生じながら流送される.その際の降灰土の掃流状況は, 土粒子が砂漣上を転倒しながら流下し, 剥離流となる砂漣の最下流端で沈降する.さらにその後方の砂漣の傾斜面上の土粒子を掃流して再び砂漣の最下流端で粒子が沈降する.この現象が繰り返され, 一つの砂漣は下流側に移動しているような形態をたどり, 降灰土は全体として下流方向に流送される.降灰土の砂漣の波長や波高は同一粒径であれば水理条件に係わらずほぼ一定値を示す.同一粒径の砂ともそれほど差はない.ただ固定床上に形成される砂漣は移動床上に形成される砂漣とその形状を異にする.5.砂漣の下流側への進行速度は粒子径によって差があり, 粒径が小さいほど遅くなる.同一径では摩擦速度が大きくなれば砂漣の進行速度も大きくなる.
- 1992-03-30
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