シラス地帯の地下水特性に関する研究 : 第2報 地下水温を支配する地下恒温層に関する一考察
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概要
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従来, 一般的記載によれば鹿児島における地下恒温層の深さは10m内外となっているが, これは鹿児島市内の鹿児島気象台構内における推算の結果を示すものであって, 他の地点においては土層の構造などに応じて, それぞれ個有の値を持っていることは勿論である.本文においては地下水温は地温に等しいとの仮定のもとに, 笠野原台地の既存井戸について, その水面深度と水温の観測を行った結果得られた資料から対数減衰率を求めてその深度を推算したものは, シラス土層のある状態における比熱, 熱伝導係数, 温度拡散率の実測値から得られた推定深度14.50mより遥かに大きく100m以上の値であることを報告してその特異性を説明する.上記の仮定が正しいものであれば, 極めて深いものと推定される現実の恒温層の深度はi)シラス土層の平均の自然含水比が実測値よりも遥かに大きいために起る温度拡散率の増大とii)シラス内の水の垂直浸降速度は熱伝速度よりも更に早く, 雨水の直接熱運搬による熱伝量の増大によるものと解される.また上記の仮定が事実に反し地温と水温が異るとすれば, iii)井戸内空気の対流などによって地下水が強く影響を受け, あるいはiv)鹿屋川の流水の供給によって水温が支配されたかによるものと推定される.これらの点については次報にゆづる.
- 鹿児島大学の論文
- 1966-12-26
著者
-
二ノ方 兼武
Laboratory Of Agricultural Physics
-
河原田 禮次郎
生産環境工学
-
河原田 礼次郎
Laboratory of Irrigation and Drainage Engineering
-
阿部 雅雄
Laboratory of Agricultural Engineering
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