シラスの物理的・力学的性質に関する研究(第2報) : シラス層中の軽石の影響について
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概要
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シラス層中の軽石が, シラスの物理的・力学的性質にいかに影響しているかをしるために試験を行い, 次の結果を得た.1.軽石の二, 三の性質(1)仮比重, 真比重(0.70,2.19)ともにシラスの値(1.19,2.39)より小さく孔隙率(68%)はシラスの値(50%)より大きい.(2)浸透係数 繊維の方向によつて大小はあるが大体10^<-3>〜10^<-4>cm/secの値をもつており, シラスの値と殆んど変らない.ただし軽石相互間の空隙の浸透係数はこれよりずつと大きいのではないかと思われる.(Table 1.参照)(3)圧縮強度 繊維の方向によつて, また試料の含水の多少によつて強度に相当の違いがあるが, 何れにしてもシラスの未攪乱試料の値にくらべ約30倍位の大きさをもつている.(Table 2., Fig.1参照)2.突固め試験 <4.8mmの方が<2.0mmの場合よりかえつてdry densityが小さい.これはl.(1)の値の差であつて, 突固められた緻密さから云えばどちらが大きいとも云えない.しかし何れの場合も最適含水比は約23%である.(Fig.2参照)3.剪断試験(1)三軸圧縮試験remoulded specimensについて歪制御による圧縮試験を行い, 次の結果を得た.(Table 3.参照)1)含水比の少いときは<2.0mmの方が<4.8mmより内部摩擦角は小さいが, 凝集力は大きく, 含水比が20%近くになると逆に<2.0mmの方が, 内部摩擦角が大きく凝集力は小さくなる.(Fig.4参照)2)内部摩擦角と凝集力の両者を考えた場合の剪断抵抗については第1報の未攪乱試料において予想したのと違い, 含水比の少いとき(20%位迄)は<2.0mmの方が<4.8mmよりむしろ大きく, 23%位になると逆に小さくなつている.つまり礫の存在は含水比の多いときに, より影響を及ぼすものと思われるが, この結果はむしろ供試体のdry densityの差によるものではないかと思われ, 明確でない.(Fig.3(i), (ii), (iii)参照)(2)三軸圧縮試験と直接剪断試験との比較 <2.0mmのremoulded specimensについて直接剪断試験を行い, 上記の三軸圧縮試験の結果と比較した.その結果, 内部摩擦角は直接剪断試験の方が三軸圧縮試験の値より大きく, 凝集力は逆に小さくなる傾向がある.(Table 4,Fig.5,Fig.6,Fig7参照)
- 鹿児島大学の論文
- 1960-10-25
著者
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河原田 禮次郎
生産環境工学
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河原田 礼次郎
Laboratory of Irrigation and Drainage Engineering
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阿部 雅雄
Laboratory of Agricultural Engineering
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