日本ウズラにおける黄色遺伝子(Y)の経済特質に及ぼす多面効果について
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概要
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本研究は, Table 1.に示した各交配型から分離して得られた野生型(Wild type)及び黄色型(Yellow type)ウズラを用いて, 各群の経済特質(受精率, ふ化率, 死亡率, 体重及び産卵特質)を明らかにし, 広義の黄色遺伝子の多面効果について研究し, つぎの結果が得られた.1)各交配型から得られたひなの分離比から, 黄色型は常染色体性単一優性遺伝子(Y)により発現し, その伴う致死作用は劣性であり, 黄色遺伝子ホモ個体(Y/Y)は, 発生初期に死亡することが, 本間らの報告の如く, 確認された.2)ヘテロ型(Y/+^y)個体におけるY遺伝子は, 受精率及びふ化率を低下させる作用は認められなかった.3)成長において, 野生型群が黄色型群に比して大きく, 雄で4週齢, 雌では1週齢より統計的に有意の差が認められ, 週齢が進むにつれて雄, 雌ともその違いが小さくなる傾向が得られた.4)各週齢時体重に及ぼすY遺伝子効果を分散分析法で評価すると, 雄では5〜6週齢(11〜18%), 雌では2〜7週齢(20〜35%)時において最も大きく認められ, 体重に及ぼすY遺伝子効果は雌において早期に発現し, しかもその効果は雄に比較して大きいと考えられた.5)各交配型の6週齢時体重において, 野生型群が黄色型群に比して大きい傾向が1区と4区で顕著であるが, 3区では認められず, また4区の黄色型雌が有意に小さいために雌雄差が認められぬ点等については, 今後の検討がなされねばならない.6)初産日齢については, 黄色群型においてわずかな遅延が認められたが, 初産時卵重及び初産時体重については違いが認められなかった.7)100日齢までの産卵数については, 野生型群が黄色型群に比較して多くの産卵数が得られたが, この違いは, 初産日齢の違いに起因するものと推論され, また総卵重及び卵重についての違いは認められなかった.
- 鹿児島大学の論文
- 1969-02-15
著者
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