保育におけるメディアとしての紙芝居 : 紙芝居通史を中心に
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概要
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紙芝居は、街頭紙芝居として誕生し、大衆文化、児童文化のなかで育った日本独自の文化財である。保育の場では、保育教材として積極的に活用されている。しかし、街頭紙芝居時代に根付いた大衆的、娯楽的なイメージと、戦争に協力した歴史のために、教育メディアとしての優れた特質を備えていながら、その真価を十分に評価されてこなかった。本研究は、紙芝居がどのように保育メディアとして位置づけられてきたのかを明らかにすることを目的としている。本稿では、その第一歩として、紙芝居の歴史を概観し、保育史との接点を検討した。そこでは、保育や教育の主導者の中に、紙芝居というメディアに注目し、先駆的に活用した人々がいたことが見てとれた。明らかとなったのは次の3点である。1)保育界では、倉橋惣三、副島ハマが、紙芝居の草創期から紙芝居の魅力に注目し、保育実践に取り入れていた、2)城戸幡太郎らの「保育問題研究会」の活動と、倉橋惣三、副島ハマらが作成に関わった『保育要領』により、紙芝居は保育内容にもとづく保育教材として位置づけられた。3)教育者や思想家が注目した紙芝居のメディアとしての魅力と、保育実践者が捉えた紙芝居の姿には、大きな隔たりがあった。
- 2005-12-20
著者
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鬢櫛 久美子
名古屋柳城短期大学
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種市 淳子
名古屋柳城短期大学
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鬢櫛 久美子
Nagoya Ryujyo (St. Mary's) College
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種市 淳子
Nagoya Ryujyo (St. Mary's) College
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