マツカサガイ属の分類学的再検討
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概要
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マツカサガイ属にはマツカサガイ, オバエボシガイ, オトコタテボシガイの3種が知られていた。これら3種について再記載を行なうとともに, 新種ニセマツカサガイの記載を行なった。ニセマツカサガイはマツカサガイに非常によく似ているが, マツカサガイより殻のふくらみが強く, 後縁がまるく少し湾曲していることにより区別できる。またグロキディウム幼生はマツカサガイとオバエボシガイでは楕円形の無鉤子幼生(いわゆるLampsilis型)であるのに対して, ニセマツカサガイでは亜三角形の有鉤子幼生(いわゆるAnodonta型)でオトコタテボシガイの幼生に酷似している。しかし親貝では, オトコタテボシガイの殻頂はニセマツカサガイより前方に位置することでこの2種は容易に区別できる。マツカサガイ属4種の類縁関係を主成分分析により調べた。その結果, マツカサガイが最も原始的な種と考えられ, ニセマツカサガイはマツカサガイから, オトコタテボシガイはニセマツカサガイから分化したものと推測された。またオバエボシガイはこれら3種とは系統的にかなり離れていると考えられた。
- 日本貝類学会の論文
- 1982-10-31
著者
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