リコンビナントヒトBMP-2を応用した歯周組織再生療法に関する研究
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概要
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本研究はrhBMP-2を応用した歯周組織再生療法の臨床応用を検討する目的で担体に改良型コラーゲン線維膜(改良FCM 1)とポリ乳酸/ゼラチン複合体(PGS)を用いて,病理組織学的ならびに組織計測学的に検討した。実験1では改良FCM 1とPGSに1, 5, 10μgのrhBMP-2を配合し,ネコ(N=8)の犬歯頬側遠心の骨面上に移植して,骨誘導が生じる配合比率を検討した結果,適切な配合比率は改良FCM 1は1mgあたり1μgのrhBMP-2, PGSは3mm^3あたり1μgのrhBMP-2であった。実験2ではネコ(N=10)の前臼歯に根分岐部III級骨欠損を作製し,根面をルートプレーニングしてセメント質を除去し,担体に実験1で判定した配合比率でrhBMP-2を配合して移植した。観察期間を6週と12週とし,臨床的,病理組織学的観察,組織学的計測を行った。実験群では炎症所見はほとんどなく,X線所見では根分岐部の不透過性が経時的に増加した。歯周組織の再生量は改良FCM 1では歯槽骨は2.58mm,セメント質は2.50mm,歯根膜は2.39mm, PGSでは歯槽骨は2.57mm,セメント質は2.93mm,歯根膜は2.62mmであり,両方の担体とも適切な配合比率でrhBMP-2を移植すれば歯周組織再生療法に有効と思われた。しかし,改良FCM 1では根面と新生骨の癒着が8歯中3歯に観察され,PGSでは根分岐部へ上皮の侵入している例が見られ,さらに担体の改良や使用方法の検討が必要であると考えられる。
- 特定非営利活動法人日本歯周病学会の論文
- 1997-12-28
著者
-
加藤 〓
北海道大学歯学部歯科保存学第2講座
-
高橋 大郎
北海道大学歯学部歯科保存学第二講座
-
久保木 芳徳
北海道大学歯学部口腔生化学講座
-
加藤 〓
北海道大学 大学院歯学研究科口腔健康科学講座歯周・歯内療法学教室
-
久保木 芳徳
高研バイオサイエンス研究所
-
久保木 芳徳
北海道大学
-
久保木 芳穂
北海道大学歯学部生化学講座
-
高橋 大郎
北海道大学大学院歯学研究科口腔健康科学講座
-
高橋 大郎
北海道大学大学院歯学研究科口腔機能学講座インプラント歯科学分野
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