外傷性横隔膜ヘルニア脱出胃の穿孔を合併した急性膿胸の1例

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概要

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症例は33歳,男性。28歳時に交通外傷による左肋骨骨折の既往がある。左胸,背部痛,発熱,咳嗽,嘔吐が出現したため近医を受診し,胸膜炎の診断で入院した。抗生物質の点滴投与を受けたが,左側胸部痛が増悪し,呼吸困難も伴うようになったため当院へ転院した。当院入院時,胸部X線写真上左側大量胸水があり,血液検査では著明な炎症反応と肝機能障害を認めた。胸腔穿刺液は好中球優位の細胞数増多を伴う浸出液で,細菌培養ではグラム陰性桿菌が検出された。急性膿胸と診断し,持続胸腔ドレナージと抗生物質の投与により解熱し,胸水も減少した。しかし,再度発熱と食物残渣を含む胸水の増加を認めたため,上部消化管検査を施行した。横隔膜ヘルニアと脱出胃の穿孔を認め,手術を施行し軽快した。本例は膿胸の治療中に,5年前の交通事故が原因と考えられる横隔膜ヘルニアの嵌頓による胃穿孔を合併した稀な症例と考えられた。
北里大学の論文
2000-10-31

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