慢性閉塞性肺疾患および肺線維症における吸気時間の短縮

概要

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呼吸器疾患例における吸気時間の短縮と,換気力学的特性,および吸気活動性の亢進との相互関係は充分に解明されていない。健常例79例,慢性閉塞性肺疾患例 (COPD) 34例,および肺線維症例 (PF) 17例を対象として,一般呼吸諸量に加え,体表面積にて基準化した%1回換気量(%VT),%吸気時間の逆数(%1/Ti),および%平均吸気気流速度(%VT/Ti)を検討した。両群共に,吸気時間の指標である%1/Ti と,吸気活動性の指標である%VT/TiおよびP_<0.1>の間には有意な正の相関関係が認められたが,%1/Tiと換気機能の指標である%肺活量(%VC),および1秒率との間には有意な相関関係は認められなかった。さらにCOPD群では吸気活動性の諸指標と%VCおよび1秒率,PF群においては吸気活動性の諸指標と%VCの間に負の相関関係が認められた。以上より,呼吸器疾患例の吸気時間の短縮は,換気機能障害の直接的影響ではなく,吸気活動性の亢進を介する関係が明らかとなった。
北里大学の論文
1992-10-31