イヌ横隔膜の局所機能 : 嘔吐時における脚部横隔膜の内側と外側および肋骨部横隔膜の相違

概要

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横隔膜の局所機能を検討することを目的に,筋電図とSonomicrometerを用いて,嘔吐のexpulsive phaseにおける横隔膜の働きを,12頭の雑種成犬について観察した。安静換気時と比較すると,expulsive phaseにおいては,1)肋骨部横隔膜の電気的活動は増加し,筋肉は短縮した;2)内側脚部横隔膜の電気的活動は低下あるいは消失し,筋肉は伸長した;3)外側脚部横隔膜の電気的活動は増加したが,筋肉の短縮は認められなかった。以上より,1)内側脚部横隔膜の筋肉の伸長により,下部食道括約部の内圧が減少して胃内容物の食道への逆流が容易になる;と同時に,2)肋骨部横隔膜の短縮により,腹腔内圧が上昇し,expulsionが起こる;また,3)横隔膜の短縮の程度は電気的活動のみならず,周囲の外力が関与すると考えられる。本研究により,肋骨部横隔膜と脚部横隔膜との局所機能の差に加えて,脚部横隔膜の外側と内側とでは局所機能が異なることが示唆された。
北里大学の論文
1990-12-31