慢性閉塞性肺疾患例および健常例における安静換気時の呼気駆動圧

概要

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吸気時の呼吸中枢活動を表わす指標として,吸気駆動圧が用いられている。慢性閉塞性肺疾患 (COPD) では,呼気時に呼吸中枢活動が亢進していることが考えられるが,未だに評価する方法がない。そこで安静呼気中の呼吸器粘性抵抗 (Rrs) (Shaw et al.,J.A.P.,54:594〜597,1983) に呼気気流速度を乗じて,呼気駆動圧を算出する方法を考案し,健常例44例,COPD例29例の平均呼気駆動圧 (mean P) と瞬間呼気駆動圧 (inst P) を求めた。Rrs は強制オッシレーション法により求められた呼吸器インピーダンスと密接な関係を示し,妥当な呼気駆動圧が求められたと考えられる。mean P は COPD 群において有意に高値を示し,さらに健常例において,年齢と有意な相関関係があった。inst P は健常例において呼気の全過程を通してほぼ一定であったが,COPD 群では呼気の中期に高値を示した。以上より,安静換気中の呼気駆動圧は呼気筋の活動および吸気筋のブレーキ作用の低下を反映し,呼気時の呼吸中枢活動を表わす指標の一つであると考えられる。
北里大学の論文
1992-10-31