飲酒・喫煙習慣を考慮した血圧と平均赤血球容積(MCV)に関する検討

概要

論文の詳細を見る
現在までのところ,飲酒により血圧は上昇すると考えられており,喫煙と血圧の間には負の関連があるとする報告が多い。一方,飲酒,喫煙あるいは肝障害などにより増大することが知られている平均赤血球容積(Mean erythrocyte corpuscular volume:以下MCVと略す)と血圧に関しても,これまでいくつか報告されているが,飲酒および喫煙習慣を考慮して検討した研究が少なく,いまだ一定の結論は得られていない。そこで本研究は,交絡因子として飲酒および喫煙習慣を考慮のうえ,MCVと血圧の関連を明らかにすることを目的として実施したものである。調査対象は,大阪にある大同生命診療所の成人病検診受診者のうち,降圧剤を内服せず,肝臓病の治療も受けていない35歳以上の男子234名である。分析の結果,MCVならびに血圧はともに,飲酒および喫煙と有意な関連を有していた。しかし,MCVと血圧の間に有意な関連はみられなかった。これらのことから,MCVと血圧の間には,飲酒および喫煙習慣と独立した,直接的な関連はないものと推察された。
日本保険医学会の論文
1994-12-15