日本産ヤチラン属の新種と新記録種
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概要
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沖縄本島から日本産として新しいヤチラン属Malaxisを2種報告する。新種カンダヒメランM. kandae Hashimotoは東部ヒマラヤおよびその周辺地域に分布するM. khasiana (Hook. f.) Kuntzeに近縁だが,葉の縁は波打たず,花茎の中程にただ1個の苞があり,背萼片は縁を含めて外側へいくらか反っており,側萼片は5脈,唇弁の中裂片は三角状卵形で深裂し,各裂片は重なるという違いがある。またKing & PantlingによればM. khasianaの葉は,紫色に染まった灰緑色というが,カンダヒメランは浅緑色である。日本新産種のオキナワヒメランは本文に記したように断定し難いところもあるが, M. purpurea (Lindl.) Kuntzeと同定した。M. purpureaは,これまでスリランカ,シッキム,中国・四川省,インドシナ半島,フィリピンに記録がある。両種ともSeidenfadenが規定するSect. Malaxisに入り,同節のM. acuminata (ネパール産材料)およびSect. CommelinoidesのイリオモテヒメランM. bancanoides (石垣島,西表島産材料)と同様に,唇弁の蘂柱周辺に脆い細胞膜に包まれて突出した針状の束晶が目立つ。唇弁上に突出したこの束晶は,これらの種類の受粉機構とおもわれるが,それぞれ別節であるホザキヒメランM. latifolia (西表島産)ではごく少なく, M. cogniauxiana (ボリビア・ソラタ産)では全く観察されなかった。
- 1992-12-25
著者
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