日本産ムヨウラン属の検討
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概要
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Lecanorchis (ムヨウラン属)は小形の腐生ランで,宮城県以南の日本,台湾,およびシッキムからニューギニアにかけて分布が確かめられている。これまで発表された学名は新組合わせと命名上の新名を除き24種5変種であるが,それらのうち11種3変種が日本からのものであった。これらは主として常緑林の林床に生え,個体数が比較的少なく,開花株に出合う例も少なく,花や株の色も目立ち難く,姿も単純で,開花株以外はあたかも樹木のひこ生えが立ち枯れているようにみえる。これらの条件がおそらく主な理由で,これまで本属の分類研究は極めて不充分であった。そこで日本産の材料を主として用い,本属における植物体全体の特徴を含め,花部を解剖して種類の特徴の詳細を明らかにしようと試みた。日本産のLecanorchisをここでは7種6変種認識し,これらの種類への検索表を作り,記載を行った。すでに示した3種類(Hashimoto 1989)を除く,すべての分類群の花部を図解した。またこれらを4節に大別した。唇弁の大脈の数については,これまで注目されたことがなかったが,ここではじめて分類形質としてとりあげた。LecanorchisおよびTrilobae両節の大脈が偶数であることは注目に値する。唇弁の緑の単細胞毛,葯の裂開口周辺の毛などはこれまで分類上の特徴とされたことがなかったが,ここでは種の異同を認識する形質として取り上げた。
- 国立科学博物館の論文
- 1990-12-25
著者
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