台湾産タチツボスミレ類
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概要
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台湾のスミレ属は今世紀に入ってから本格的に調査され始め,植物誌,植物目録,専門誌上の論文などによって自生する種類はほとんど明らかにされていると思っていた。しかし永見宏二氏の採集品を見せていただき,これまで知られていなかったタチツボスミレ節が分布しており,しかも3種もあることを確め得た。それらのうちViola nagamianaはアイヌタチツボスミレの仲間であるが地上茎はほとんど発達せず,果実は球形になる新種である。種としての近似種との相違点は本文に記した通りである。ニオイタチツボスミレは北海道南端から九州屋久島まで分布するとされていた種である。台湾産のものは日本産の果実期に植物体が似ているが,本文に記したような違いが見られるので新変種V. obtusa var. tsuifengenstsとした。タチツボスミレV. grypocerasは日本および朝鮮半島南部に分布し,形態の変異に富む種として知られていた。著者は既に京都大学と東京大学に所蔵されている標本の中に台湾産タチツボスミレと思われるものを見たことがあったが断定できないでいた。この度いただいた標本および生品によってこの問題に一つの区切りがついた。1978年に台湾新産として報告されたエゾノタチツボスミレV. acuminataは実は別種であり,記載文および図から推察するとV. obtusa var. tsuifengensisが含まれていると思う。以上の種類を加えて,Flora of Taiwan (1977)にあるスミレ属各種類への検索表を修正する試みを行なった。
著者
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