除草剤オルベンカルブのダイズ,コムギ,トウモロコシ及びメヒシバ幼苗における代謝
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概要
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^<14>C標識したorbencarbを用い、ダイズ、コムギ、トウモロコシ及ぴメヒシバ幼苗における代謝を検討した。2.5ppm水掛液に4種楠物の根部を浸し96時間栽培した。^<14>Cは植物に徐々に吸収され、植物全体に移行した(Fig.2)。植物間で新葉に移行する^<14>Cの割合はダイズが最も高かった。植物を含水メタノールで磨砕抽出後、ジクロロメタンー水分配を行うと、ジクロロメタン層に未変化のorbencarb、 orbencarb su1foxide、 desethyl-orbencarb、 N-vinyl-orbencarb、 N-β-hydroxyethyl-orbencarb、 4-OH-orbencarb、 5-OH-orbencarb、 2-chlorobenzyl alcohol、 2-chloroben-zoic acid、 methyl 2-chlorobenzylsulfide、 methyl 2-chlorobenzylsufoxide、 methyl 2-chlorobenzylsulfone S-(2-chlorobenzyl)-N-malony-L-cysteine、 S-(2-chlorobenzyl)-N-malonyl-L-cysteine sulfoxideが、水層にS-(2-chlorobenzyl)-L-cysteineと2-chlorobenzylsulfonic acidが合成標品とのCo-TLCにより同定された(Table 1)。また水層を酵素処理すると、2-chlorobenzyl alcoholと2-chlorobenzoic acidが遊離され、これら化合物の糖抱合体の存在が認められた。orbencarbの2-chlorobenzyl部は、すべての植物でS-(2-chlorobenzyl)-L-cysteine、 S-(2-chlorobenzyl)-N-malonyl-L-cysteine及びそのsulfoxide (Fig.1)に代謝され、これら含cysteine代謝物の捕物中全放射能に対する割合はダイズ、コムギ、トウモロコシ及びメヒシバでそれぞれ19.3、 12.5、 10.1及び3.3%であった(Fig.3)。2-chlorobenzyl alcoholや2-chlorobenzoic acid等の他の主要な代謝物の割合は植物間で大きな差がなかった。4種の植物で同じ代謝物が検出されたことから、orbencarbの代謝経路は植物が異っても類似しており、S-(2-chlorobenzyl)-L-cysteine類縁体の生成が主要な代謝経路の1つとして推察された。
- 日本雑草学会の論文
- 1986-10-26
著者
-
富澤 長次郎
National Institute Of Agro-environmental Sciences
-
富澤 長次郎
農業環境技術研究所
-
池田 光政
クミアイ化学工業(株)生物科学研究所
-
右内 忠昭
クミアイ化学工業(株)生物科学研究所
-
右内 忠昭
Life Science Research Institute Kumiai Chemical Ind. Co. Ltd.
-
池田 光政
クミアイ化学・生科研
-
池田 光政
クミアイ化学工業株式会社
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