6価クロムによるマウスの生体内脂質過酸化促進と毒性との関係
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概要
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6価(K_2Cr_2O_7)および3価クロム(Cr(NO_3)_3)を腹腔内投与(20mgCr/kg)したマウスにおける, 組織内の脂質過酸化(チオバルビツール酸反応物質)と組織障害との関連性について検討し, 以下の成績を得た. (1) 6価クロムは, 肝臓内脂質過酸化を著明に促進し, 腎臓内のこれを僅かに促進したが, 3価クロムは, これらを促進し得なかった. (2) 6価クロム投与マウスの肝および腎臓内クロム含量は, 3価クロム投与マウスのそれらより高かった. (3) 還元剤であるL-アスコルビン酸は, 6価クロムによって誘起された組織内脂質過酸化の促進, 組織内クロム蓄積, 肝臓(血清オルニチン・カルバミル・トランスフェラーゼ活性の増加)および腎臓障害(血清尿素窒素量の増加)をそれぞれ抑制した. (4) 抗酸化剤であるN, N'-ジフェニル-p-フェニレンジアミンは, 6価クロムによる組織内の脂質過酸化促進を抑制したが, クロムの蓄積および組織障害を抑制し得なかった. 以上の成績から, 6価クロムは組織内の脂質過酸化を促進することが明らかとなったが, 認められた脂質過酸化の促進は, 6価クロムの毒性発現に直接関与しないことが示唆された.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1989-12-15
著者
-
上野 俊治
北里大学獣医畜産学部獣医公衆衛生学研究室
-
古川 義宣
北里大学獣医畜産学部獣医放射線学講座
-
諏佐 信行
北里大学獣医畜産学部獣医公衆衛生学教室
-
上野 俊治
北里大学獣医学部・獣医公衆衛生学教室
-
上野 俊治
北里大学獣医公衆衛生学教室
-
諏佐 信行
北里大・獣医・公衆衛生
-
古川 義宣
北里大学獣医畜産学部獣医公衆衛生学教室
-
諏佐 信行
北里大学獣医畜産学部
-
諏佐 信行
北里大学 獣畜
-
道場 尚輝
北里大学獣医畜産学部獣医公衆衛生学教室
-
箕浦 清二郎
北里大学獣医畜産学部獣医公衆衛生学教室
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