6価クロムによる遊離ラット肝細胞の脂質過酸化と細胞障害
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概要
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6価クロム(K_2Cr_2O_7; Cr VI)による細胞障害と脂質過酸化との関係を調べるため,活性酸素スカベンジャー,抗酸化剤,抗クロム剤を添加した遊離肝細胞を1mMのCr VIとともに培養した.抽出脂質の過酸化はチオバルビツール酸法で測定し,細胞障害は肝細胞から培養液中へのLDH遊出を指標として検討した.また,細胞内グルタチオン(GSH)の代謝に関連する酵素活性への影響についても検討した結果,次の成績を得た.1) Cr VIによる肝細胞の脂質過酸化は培養開始20分後に上昇し,細胞障害は60分後に観察された.2) catalase, mannitol, NN'-diphenyl-p-phenylenediamine,α-tocopherolは, Cr VIによる脂質過酸化を抑制したが,細胞障害は抑制しなかった.3) Cr VIは肝細胞内のGSH含有量を減少させ,同時にglutathionereductase, glutathione-S-transferaseの活性を低下させた.しかしglutathionerperoxidase活性には影響しなかった.4)活性酸素スカベンジャーや抗酸化剤は,Cr VIによるGSHの低下を防止できなかった.5) アスコルビン酸は, Cr VIによる脂質過酸化,細胞障害,GSH低下を防止した.以上の成績から,Cr VIによる細胞障害は脂質過酸化と関連せず,むしろCr VIによる細胞内GSHの直接酸化による低下,あるいはGSHなどに関連する酵素活性の低下に起因していることが示唆された.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1989-02-15
著者
-
相川 勝弘
北里大学獣医畜産学部獣医公衆衛生学教室
-
上野 俊治
北里大学獣医畜産学部獣医公衆衛生学研究室
-
古川 義宣
北里大学獣医畜産学部獣医放射線学講座
-
諏往 信行
北里大学獣医畜産学部獣医公衆衛生学教室
-
板垣 伊織
北里大学獣医畜産学部獣医公衆衛生学教室
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上野 俊治
北里大学獣医畜産学部獣医公衆衛生学教室
-
上野 俊治
北里大学獣医公衆衛生学教室
-
諏佐 信行
北里大・獣医・公衆衛生
-
古川 義宣
北里大学獣医畜産学部獣医公衆衛生学教室
-
諏佐 信行
北里大学 獣畜
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