6価クロムの細胞毒性に対する DL-ペニシラミンの拮抗作用
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概要
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HeLa細胞を用いて, 6価クロム化合物 (重クロム酸カリウム) の細胞毒性に及ぼす各種キレート剤 (DL-ペニシラミン, グルタチオン, L-システイン, BAL, EDTA) 添加の影響を, 処理後の増殖率および細胞のクロム含量から検討した結果, 次の成績を得た。1) 重クロム酸カリウム3.4μM単独処理3日後では, 細胞増殖率が対照例の約15%にとどまった。これに対して, DL-ペニシラミン670.2μMを同時に添加した例では, 対照例と同程度の増殖率を示した。その他のキレート剤との併用処理では, 著明な増殖改善は認められなかった。2) 重クロム酸カリウム3.4μMで前処理 (6,24時間) された細胞の増殖抑制に対して, DL-ペニシラミン添加は効果がなかった。3) 重クロム酸カリウム3.4μM単独処理6時間後の細胞のクロム含量は, 約0.15μg/10^6cellsを示した. これに対して, DL-ペニシラミン670.2μMを同時に添加した例では0.014μg/10^6cellsを示し,約70%の減少が認められた。以上の成績から, DL-ペニシラミンは, 細胞のクロム取込みを減少させることによって, 6価クロムの細胞毒性発現を軽減することが明らかとなった。
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1984-02-01
著者
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