安定濃縮同位体^<50>Crを用いた犬の血液量の測定
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概要
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野外実験に使用可能な非放射性の安定同位体^<50>Crを赤血球標識のマーカーとして用い, 中性子放射化分析法を利用して犬の血液量の測定に必要な諸条件および手技を検討した. 犬血液を標識する場合, 今回の実験で得られた結果から, 血液1mlあたり^<50>Crを5μg添加し, 60分間インキュベーションした. ^<50>Crで標識した血液を体内に注入し, 60分後に採血して注入前後の血液中^<50>Cr濃度(濃度法)および^<51>Cr/^<59>Fe放射能比率(比率法)を中性子放射化法で測定し, 希釈割合から血液量を算定した. 両方法で求めた血液量は高い相関(r=0.97)を示し, ほぼ一致した測定値が得られた. 比率法は試料重量の測定, 照射中の熱中性子束密度の変動の補正が不要であるため, 濃度法より簡便であると考えられた. また^<50>Cr法と従来臨床領域で用いられてきたエバンスブルー法で求めた単位体重あたりの平均血液量は, それぞれ89.8±6.8ml/kg, 98.9±10.6ml/kgであり, この差は有意であった. しかし, 血液量値の計算に用いたヘマトクリット値を0.97の係数で補正した結果, 両方法で求めた値は, ほほ一致した. 今回使用した実験系では, ^<50>Crの検出限界は血液1mlあたり0.1ngであった. ^<50>Crの添加量を血液1mlあたり5μgとし, ^<50>Cr標識血液注入量を体重500kgあたり50mlとすれば, 大動物の血液量測定にも適用可能であることが明らかにされた.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1989-10-15
著者
-
伊藤 伸彦
北里大学獣医畜産学部
-
伊藤 伸彦
北里大学獣医学部
-
伊藤 伸彦
北里大学獣医畜産学部獣医放射線学講座
-
伊藤 伸彦
北里大学獣医放射線学研究室
-
椚山 巌
北里大学獣医畜産学部家畜放射線教室
-
古川 義宣
北里大学獣医畜産学部獣医放射線学講座
-
古川 義宣
北里大学獣医畜産学部獣医公衆衛生学教室
-
椚山 巌
北里大学獣医畜産学部獣医放射線学講座
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