日本の動物用狂犬病ワクチンのELISAによる力価試験法の確立(ウイルス学)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
日本の動物用狂犬病ワクチンのELISAによる力価試験法を確立するため,これまでELISAによる狂犬病ワクチン中の感染防御抗原量の定量が力価試験法に応用可能であることを報告した.また,力価試験法として,試験ワクチンと参照ワクチンのELISA価を同時に測定し,参照ワクチンを基準に試験ワクチンの力価を相対的に評価する平行線検定法についても報告した.そこで,参照ワクチンを標準化し,ELISAによる力価試験法の確立を図った.力価試験の判定の基準となる参照ワクチンを標準化するにあたり,参照ワクチン候補品を(1)犬における抗体応答,(2)以前の力価験法であるモルモットを用いた感染防御試験(モルモット法)及び(3)国際的に広く採用されているNIH法によって評価した.その結果,(1)では4倍希釈まで感染防御に必要な抗体を12か月維持した.(2)では3倍希釈まで合格域に達した.(3)では国際単位は3.7IU/doseであった.これらの結果及び動物用狂犬病ワクチンの国際単位は1.0IU/dose以上が望ましいというWHOの勧告から,参照ワクチン候補品を3倍に希釈したものを参照ワクチンとすることで,ELISAによる力価試験法が確立された.最後に,モルモット法と本試験法の試験結果を比較したところ,高い割合で結果が一致した.本試験法の確立によって製造工程中に力価試験を実施することが可能となり,ワクチンの安定的な製造に貢献するものと考えられる.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 2003-06-25
著者
-
伊藤 治
動物医薬品検査所
-
村松 昌武
畜安研
-
平山 紀夫
畜安研
-
村松 昌武
農林水産省動物医薬品検査所
-
伊藤 治
農林水産省動物医薬品検査所
-
平山 紀夫
農林水産省動物医薬品検査
-
牧江 弘孝
農林水産省動物医薬品検査所
-
嶋崎 洋子
農林水産省動物医薬品検査所
-
畠山 英夫
生物系特定産業技術研究推進機構
-
蒲生 恒一郎
農林水産省動物医薬品検査所
-
千田 恵
農林水産省動物医薬品検査所
-
蒲生 恒一郎
農林水産省動物医薬品検査所 検査第一部
関連論文
- インドネシア共和国における高病原性鳥インフルエンザ対策と国際協力機構技術協力プロジェクト 「インドネシア鳥インフルエンザに係るワクチン対策改善計画」の紹介
- プラスミド除去Salmonella serovar enteritidis AL1192の牛に対する病原性と免疫原性
- P-080 ニワトリを用いた食道カンジダ症ならびに全身性カンジダ症モデルの作成(深在性真菌症,ポスター討論,一般演題,医真菌学のコペルニクス的転回を目指して)
- Salmonella serovar enteritidisの病原性と36Mdプラスミドとの相関性の再導入試験による確認(短報)
- 養鶏業が盛んな或る県における廃鶏を対象としたコウシエラ バーネティに関する血清疫学調査とコクシエラDNA検出の試み(短報)(公衆衛生学)
- 日本で分離された豚繁殖・呼吸障害症候群ウイルスの主要な構造蛋白コード遺伝子及びサブゲノムmRNAの連結遺伝子の解析
- 日本で使用されている動物用ワクチン(I) : 日本における動物用ワクチンの現状(総論)
- 2006-2007年における国内の飼い主放棄犬での Erysipelothrix 属菌に対する抗体調査
- 動物体内におけるアミノグリコシッド系抗生物質の鑑別法
- 動物体内におけるベンジルペニシリンとアンピシリンの鑑別法
- Salmonella Enteritidis 36メガダルトン・プラスミドの病原性に関する機能
- 牛ブルセラ抗体検査の膠着補体吸収試験改良法
- リバースプラーク法による牛ウイルス性下痢 : 粘膜病ウイルス非細胞病原性株間の血清学的関係に関する検討
- 猫から分離された犬パルボウイルス2b型の猫に対する病原性(ウイルス学)
- 日本の動物用狂犬病ワクチンのELISAによる力価試験法の確立(ウイルス学)
- 免疫クロマト法を原理とした犬糸状虫成虫抗原検出キットの評価
- イヌジステンパーウイルス株間の生物学的および分子生物学的性状の比較
- 動物用医薬品の安全性と獣医師の責務
- ワクチンの使用環境の変化と有用性評価法の見直し
- Haemophilus paragallinarum A型菌赤血球凝集素の Escherichia coliへの発現
- インドネシアにおける鶏伝染性コリーザの浸潤調査
- インドネシア (西ジャワ州) における狂犬病ワクチン接種犬の抗体保有状況
- 神経系培養細胞における狂犬病ウイルスの増殖
- Vero細胞における犬ジステンパーウイルスの増殖におよぼすマイコプラズマの影響
- インターロイキン-2依存性牛T細胞の作出とその細胞を用いた白血病発症牛血清中のリンパ球活性化抑制作用の検索
- 近年における動物用狂犬病ワクチンの副作用の発生状況調査
- 我が国の動物用狂犬病ワクチンの現状と課題 (特集 海外からの人獣共通感染症の侵入危機とその対策)
- 危機管理対策としての経口投与型狂犬病生ワクチンに関する調査 (特集 人と動物の共通感染症最前線(5))
- 2003-2005年に国内で分離された伝染性気管支炎ウイルスの性状
- 日本で病豚から分離された豚丹毒菌株の血清型
- 屠場豚の肺病巣から分離されたActinobacillus (Haemophilus) pleuropneumoniaeの薬剤感受性(短報)
- 屠場豚からのActinobacillus (Haemophilus) pleuropneumoniaeの分離と血清型別 (短報)
- 急性敗血症型豚丹毒例から分離された豚丹毒菌の薬剤耐性
- 若齢子牛の外耳と鼻腔からのレオウイルス分離症例 (日本産業動物獣医学会会誌)
- 22-43 動物用医薬品の堆肥化過程での消長及び作物への移行について(その2) : 堆肥中に残存する動物用医薬品の実態調査(22.環境保全,2009度京都大会)
- P1-1 動物用医薬品の堆肥化過程での消長及び作物への移行について(ポスター紹介,1.物質循環・動態,2008年度愛知大会)
- 屠場豚の慢性型豚丹毒例から分離された1a型, 3型, 5型, 6型, 8型, 11型, 21型およびN型の豚丹毒菌株の病原性
- 受身マウス感染防御試験による豚丹毒生菌ワクチン接種豚の感染防御能の推測
- 動物用医薬品の安全性確保, 危機管理業務の推進
- 気腫疽菌音波処理抗原に対する間接赤血球凝集抗体と予防液のマウス感染防御能との相関関係
- Nucleic Acid Sequence-based Amplification(NASBA)法を応用した鳥インフルエンザウイルス検出キットに関する検討
- 日本で分離された Yersinia enterocolitica の病原性プラスミド
- 豚オ-エスキ-病および豚コレラ生ワクチン併用時の抗体応答
- リバ-スプラ-ク形成法を用いた牛ウイルス性下痢--粘膜病ウイルスの測定〔英文〕
- Nucleic Acid Sequence-based Amplification (NASBA) 法を応用した鳥インフルエンザウイルス検出キットに関する検討
- 人体用簡易インフルエンザウイルス検出キットの鳥インフルエンザウイルス検出への応用に関する検討
- 家畜・家きん疾病における経営・経済疫学 (特集 家畜衛生と疫学)
- IV. 植物を対象とする非破壊的立場の計測
- 鳥インフルエンザ(油性アジュバント加)不活化ワクチン
- ワクチン品質検査のための鶏における Mycoplasma gallisepticum の人工感染試験
- 若齢子牛の外耳と鼻腔からのレオウイルス分離症例