緬羊の成長にともなう心拍変動のパワースペクトル解析

概要

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心電図用高性能計算機の発展にともない、心拍数が持つ周期性を指標にして、自律神経機能を評価する研究が行われている。日常の飼育管理下にある雄2頭、雌1頭のサフォーク種緬羊を、3日齢から10ヵ月齢まで経時的に使用した。ラジオテレメーターを用いて無拘束状態で24時間の心電図を連続記録し、緬羊の成長にともなう安静時の心拍変動の特徴の一端を明らかにし、心拍変動より自律神経機能の評価を試みた。24時間の記録から夜間安静時の5分間の心電図をもとに心拍変動のスペクトル解析を行った。3日齢では、心拍数が高く、CV_<R-R>は小さく、LF/HF比は大きい値を示し、交感神経活動の優勢が示唆された。その後週齢の増加にともない心拍数は減少し、CV_<R-R>は増大し、LFパワー値は増加し、HFパワー値は著しく増加する結果、LF/HF比は著明に減少した。これらの数値の変化から副交感神経活動優勢の推移が推察された。一方、夏季高温時および肥育時には心拍数は増加し、CV_<R-R>は低下し、LFおよびHFパワー値が減少し、しかもHFパワー値の減少が優勢であるので、その結果LF/HF比が増加し、交感神経活動優勢が示唆された。以上の成績から緬羊においても心拍変動解析により、自律神経機能評価の指標として、心拍数はもとよりCV_<R-R>、LFパワー値、HFパワー値およびLF/HF比が有効であることが示唆された。とくに本実験のようにテレメトリーシステムを応用すると動物を無拘束で、自由行動状態の自律神経活動を容易に測定できるので、家畜の管理ストレスや異常行動などの解析に有効な手段になると思われた。日本家畜管理学会誌、33(2)47-54.1997.1997年7月10日受付1997年9月29日受理
1997-12-08

緬羊の成長にともなう心拍変動のパワースペクトル解析

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