養豚場の畜産廃棄物に対するキタキツネの摂食行動

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多包虫症流行地域である北海道の1養豚場において、堆肥場への胎盤の廃棄とキタキツネの採餌行動との関係について調査した。堆肥場にタイムラプスVTRを設置してキツネの行動を記録した結果、25日間に311回の侵入が記録され、その79.7%で餌を探索する行動が、11.3%で実際に餌を食う摂食行動が観察された。また、直接観察の結果、胎盤類が捨てられているとき、キツネは養豚場を主に採餌と休息の場として利用し、主要な採餌場所は堆肥場であった。摂食行動は堆肥場に胎盤類が捨てられた日には必ず観察され、胎盤類が捨てられなかった日にはまったく観察されなかったため、堆肥場内でキツネの餌となるのは廃棄された胎盤類であると考えられた。胎盤類の捨てられた日には、キツネの堆肥場での滞在時間が捨てられなかった日の3倍になった。この養豚場では2〜3日に一度、堆肥場に胎盤類が廃棄されていたので、1ヵ月間胎盤を出すのを停止したが、キツネの堆肥場への侵入回数に顕著な変化は見られなかった。結論として、キツネの養豚場への侵入には、胎盤類の廃棄が重要な誘引要因となっており、キツネの侵入をなくすためには長期的な廃棄の停止が必要であると思われた。また、キツネは養豚場を採餌以外に休息場所として利用していたので、キツネの隠れやすい廃屋や草むらをなくすことも必要であると考えられた。日本家畜管理学会誌、32(3)75-82.1997.1996年7月19日受付1996年10月25日受理
日本家畜管理学会の論文
1997-03-07

養豚場の畜産廃棄物に対するキタキツネの摂食行動

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