鎌倉後期に使用された桶の造形性 : 『遊行上人縁起絵』諸本に描かれた桶と諸外国の桶との比較を通して
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概要
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本論は我が国において発達した桶・樽の造形文化を追究する第3報で, 14世紀前半という桶文化の草創期における造形的特徴を絵画資料を通して抽出することを目的とする。考察する対象は『遊行上人縁起絵』の系統本である『真光寺本』『金光寺本』『東京国立博物館本』『藤沢道場古縁起模本』の同一場面に限定し, 桶の形態, 構造, 使用方法を比較した。この結果をさらにヨーロッパ, 中国の事例と比較し, 次のことが明らかになった。(1)現在使用される4斗樽以上の容量を持つ大型の桶が既に出現している。(2)桶の形状, 箍, 運搬方法にはヨーロッパと共通する部分もあり, 中国大陸を通して我が国に伝えられた可能性が高い。(3)中国大陸の中南域で発達した桶文化が深く関与し, 今日見られないタイプの桶も当時は使用されていた。
- 日本デザイン学会の論文
- 1997-05-31
著者
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