日本の陶磁器産地におけるワラ包装の諸形態 : 陶磁器の伝統的ワラ包装技術と形態に関する研究(3)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
日本において,昭和40年代まで陶磁器の流通包装には,ワラ包装が行われていた。本研究は,有田・伊万里をはじめ東アジアにおいて広域調査を実施し,各窯業地の諸形態を明らかにして,日本のワラ包装形態を造形の視点から比較考察する。(1)日本の包装形態は,陶磁器の形状から大型器種と小型器種に対応する2系統8種のワラ包装タイプに類型化される。大型器種に対しては衝撃に強い「太織巻き」,小型器種には円筒形の「ワラ包み」が主に行われており,産地ごとに微妙に意匠の異なるものの,同一産地においては,それぞれ特色あるワラ包装技術を共有していた。(2)各産地における包装形態と意匠の独自性は,保護機能の他に産地識別のための情報機能をも果たしていた。(3)陶磁器包装の伝播は窯業技術の伝播と深い関連が窺える。江戸前期,景徳鎮の包装技術が有田にもたらされており,高品位の磁器創出を目指していた有田の美意識と日本のワラ文化の成熟が優れた意匠のワラ包装技術を確立したと考えられる。
- 2004-09-30
著者
関連論文
- 日本の陶磁器産地におけるワラ包装の諸形態 : 陶磁器の伝統的ワラ包装技術と形態に関する研究(3)
- 初期国産家庭用電気洗濯機「Solar」の成立と戦前における展開 : 日本における国産家庭用電気洗濯機の成立と展開(1)
- 中国古典様式家具の日本への影響に関する研究 : 坐臥具の牀・榻・〓を中心として
- 中国・韓国古典様式家具の日本への影響に関する研究 : 中国のケヤキ家具用材を中心として(1)
- 中国古典家具様式の日本への影響に関する研究 : 欅木家具を中心として
- 中国古典家具様式の日本への影響に関する研究 : 〓を中心として(口頭による研究発表概要)
- 中国古典家具用材の日本への影響に関する研究 : 欅木用材を中心として
- 中国農村部における椅子と生活文化のかかわりに関する研究--伝統的な椅子文化の比較調査を通して
- 中国古典家具様式の日本への影響に関する研究 : 中国の硬木家具用材を中心として
- 樽の成立時期と初期形態 : 桶・樽の造形文化に関する研究(4)
- 鎌倉後期に使用された桶の造形性 : 『遊行上人縁起絵』諸本に描かれた桶と諸外国の桶との比較を通して
- 絵巻物に描かれた中国風の桶 : 桶・樽の造形文化に関する研究(2)
- 桶の伝来時期と初期形態 : 桶・樽の造形文化に関する研究(1)
- 桶・樽の生産技術に関する研究(建築経済・住宅問題)(学位論文要旨)
- 伝統「ワラ荷造り」について7 : 我が国の陶磁器産地に見るワラ包装の諸形態
- 有田・伊万里焼のワラ荷造り「輪巻き」「菰包み」の起源仮説 : 陶磁器の伝統的ワラ包装技術と形態に関する研究(2)
- 秋田木工株式会社の設立と曲木家具製作技術の導入 : 曲木の造形文化に関する研究(3)
- 地方の曲木家具企業におけるベンチャー的要因 : 明治末から昭和初期に創業した企業を通して
- 特集「地域産業とベンチャー企業」によせて
- 木製家具産業の地域特性 : フィールド調査による福岡県の木製家具産業の実態を通じて
- 秋田木工株式会社における曲木家具の意匠
- 蒸し曲げ法による曲木材の検証 : 曲木の造形文化に関する研究(2)
- 我が国における曲木椅子製作技術の導入 : 曲木の造形文化に関する研究(1)
- 樽構造を使用した木製貯金箱の開発
- トーネット社製曲木椅子の初期構造について
- 伝統「ワラ荷造り」について6 : 陶磁器包装形態と入数規定
- 我が国におけるオーストリアの曲木椅子製作技術の導入について
- 我が国における大桶の出現と発達について : 醸造用大型桶における形態の発達過程を通して
- 屋敷林とその利用(北の風土とデザイン)
- 味噌桶の用材をめぐって(森と木の文化とデザイン)
- 結桶における初期意匠の形成-その2- : 絵巻物に描かれた図像をてがかりとして(口頭による研究発表,第38回研究発表大会)
- 結桶における初期意匠の形成-その1 : 絵巻物に描かれた図像をてがかりとして(口頭による研究発表,第37回研究発表大会)