特許・実用新案出願公告にみる昭和期の漆器製作技術の諸相 : 素地、形状、漆液・塗装、乾燥、加飾に関する技術開発の実態
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概要
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本小論は、1926年から1987年の間に出題された漆器の製造にかかわる特許および実用新案出願公告174点を資料として、時代別にその内容を分類し、昭和期における漆器生産技術の動向についての考察を行ったものである。本稿で明らかになった点は、下記のようである。(1)出願公告は、器体の素地の開発に関連するもの4項目、形状開発に関連するもの2項目、漆液・塗装方法の改善に関連するもの9項目、乾燥技法の開発に関連するもの4項目、加飾技術の開発に関連するもの6項目、合計25項目に分類された。(2)それぞれの分類項目ごとに年代別に内容を検討すると、総じて、伝統的な天然漆、天然木素地、加飾技法などが有する特質を再現・現出することを目標として、新技術・新素材の開発・導入の試行がなされていることが判明する。(3)漆器制作技術における合成樹脂塗料ならびに合成樹脂素地などの新技術・新素材の開発・導入過程は、家庭電化製品に代表されるインダストリアルデザインにおけるそれらの導入過程とは異なり、いわば、「新しいもの」を「古来のもの」に近似させていくことを指標として展開された。
- 日本デザイン学会の論文
- 1993-11-30
著者
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