有限要素法による三次元声道内の音圧分布の推定 : 声道長の周波数依存性についての考察

概要

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人間の高度な音声生成機能を解明するには, 精密な音声生成モデルを構築する必要がある。従来, 母音生成モデルの場合, 声道(咽頭から口腔に至る音波が伝播する空間)の断面積をパラメータとした電気的に等価な線形回路モデルが多く提案されてきた。従来のモデルでは, 声道内を伝播する音波は各周波数帯に関わらず一定の経路を辿ることを前提としており, 音声に含まれる感性や個人性情報を解析するには不十分であることが指摘されている。本研究では, 声道内の音波伝播に着目し, 異なる周波数下において伝播経路がどのように変化するかを調べる。すなわち, 有限要素法を用いて声道内における音圧分布を示し, 各周波数帯における音波伝播経路を推定した。その結果, 日本語母音/a/において2000[Hz]以上の周波数において声道長が長くなり, 母音/i/においては2500[Hz]以上の周波数で声道長が長くなっていることが示された。このように周波数が高くなると声道長が長くなる傾向が認められた。
2001-11-02