前立腺癌に対する腹腔鏡下骨盤内リンパ節郭清術の検討

概要

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前立腺全摘出術の適応と考えられる前立腺癌症例に腹腔鏡下リンパ節郭清術を行い,その効果,安全性を検討した.術前診断にてstage C以下の前立腺癌と診断され,75歳以下,PS1以下で前立腺全摘出術に耐えられる症例を対象とした.1992年4月より1993年9月までの間に27例に対し,腹腔鏡下骨盤内リンパ節郭清を行った.年齢は平均68歳であり,術前診断は stage A 4例,stage B 17例,stage C 6例であった.腹腔鏡下に両側の閉鎖節のリンパ節郭清術を行い,原則として凍結標本にて転移の無い症例には,同時に前立腺全摘術を行い,転移のある場合には前立腺全摘術を中止し,他の治療法を選択した.27例の手術時間は,平均162分であった.摘出リンパ節数は右側は1〜28個で平均7.1±5.9個であり,左側は平均6.1±4.5個であった.合併症としては,腸管損傷を1例に経験し,再手術を要した.リンパ節転移の陽性例は stage A にはなく,stage Bでは7例(41%)にstage Cでは4例(67%)に認められた.迅速標本と永久標本の病理結果の相違が6例にみられ,リンパ節郭清と根治的前立腺摘出術を同時に行う場合の問題点が提起された.治療としては根治的前立腺全摘出術は21例に施行,6例には去勢術,TUR等を施行後,経口ホルモン剤投与による治療法を選択した.腹腔鏡下骨盤リンパ節郭清術は,重篤な副作用もなく,stage Dに対する無駄な手術を避ける目的を遂げる意味では,現時点でも十分施行するに価値のある手術方法であると考えられた.
1994-12-20

前立腺癌に対する腹腔鏡下骨盤内リンパ節郭清術の検討

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