自家腎移植術 : 53例の検討

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53例の自家腎移植術及び体外腎手術施行症例を対象として各疾患に対する本術式の有効性について検討した.対象は上部尿路閉塞性疾患25例,腎血管性病変13例,腎結石症例12例,腎腫瘍3例である.手術死亡は腎動脈吻合破裂による大量出血とそれにともなうDICの1例と,手術創及び腎の感染とそれにともなう敗血症の2例であった.また,手術腎廃絶は腎内血管吻合部血栓を合併した1例にみられた.各疾患に対する本術式の有効性については,(1)上部尿路閉塞性病変では,死亡例を除き全例で閉塞性変化の改善,消失がみられた.(2)腎血管性病変では,腎血管性高血圧の消失が全例でみられ,腎動脈瘤は2例を除き,全例で切除,腎保存が可能であり,腎動静脈瘻,nut cracker症候群では,全例とも血尿の消失がみられた.(3)腎結石症では,死亡した2例を除き,全例で結石の完全摘出と腎保存が可能であった.(4)腎腫瘍では,全例で腫瘍の核出ができ,腎機能は完全に保存され,現在までに局所再発もなく経過している.ESWLやendourologyの開発進歩が腎結石症に対し,そしてtrans-luminal angioplastyが腎血管性高血圧症に対する本術式の適応を縮小させてはいるが,未だ他の疾患についてはもちろん腎結石や腎血管性高血圧症に対しても特殊な症例については有用な術式であると考えられる.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1989-03-20

自家腎移植術 : 53例の検討

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