死体腎移植における移植後早期の管理方法の検討

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本邦での死体腎移植は腎の提供が心停止後行なわれるために温阻血の影響をうけ,腎移植直後より急性尿細管壊死に陥り移植腎機能は発現しないことが多い。この移植腎機能の発現しない期間に高頻度でおこる合併症をより少なくして,拒絶反応を抑制し移植腎の生着を図るために,methylprednisolone,azathioprineの投与量を生体腎移植例の2/3〜3/4に滅じ,ALGを十分に投与する免疫抑制法を用い,また,経日的な移植腎開放腎生検によって移植の状態を観察して腎移植後の管理を行なった。昭和53年1月より昭和55年12月までに9例に上記の方法にて死体腎移植を施行した。7例に移植直後から18術後目までに移植腎機能の発現をみた。2例は不可逆性急性尿細管壊死,急性尿細管壊死と急性拒絶反応により移植腎機能の発現はみられなかった。移植腎機能の発現をみた7例のうち2例は回腸穿孔,腹膜炎および消化管出血にて免疫抑制剤を中止したが,1例はfulminant typeの急性拒絶反応により移植腎機能を喪失した。腹膜炎より敗血症で死亡した1例を除き4例は血液透析をうけ社会復帰している。4例は現在のところ3ヵ月以上の移植腎の生着をみ,腎機能は良好で前例社会復帰している。私共の死体腎移植の方法および結果を述べ,急性尿細管壊死による移植腎機能の発現しない時期の免疫抑制法および急性拒絶反応の診断法について考察を加え報告した。
社団法人日本泌尿器科学会の論文

死体腎移植における移植後早期の管理方法の検討

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