腎静脈の形態の多様性について : 生体腎移植のドナー97例における検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
腎静脈の形態の一般的な傾向を明らかにし,腎摘出術の際の参考とすることを目的として,当科において施行された生体腎移植術のドナーについて,摘出腎の腎静脈の形態と,その多用性及び発現頻度についてretrospectiveに検討した.対象は,1973年9月より1987年9月までに当科で施行された生体腎移植138例のドナー症例中記載の完全な97例(右腎47例,左腎50例)であり,手術記事をもとに,摘出側腎静脈の形態を分類し,検討した.結果は以下の通りである.(1)右腎静脈は18例(38%)が複数静脈であり最高では4本の腎静脈を持つ症例も1例(2%)みられたのに対し,左腎静脈は1例のみが2本の腎静脈を有した.(2)右腎静脈に流入する静脈の本数は,1本が13例(28%)で残りは0本であったのに対し,左腎静脈は全例に流入静脈を持ち,その本数も1〜5本と様々であり,3本(44%)が最も高い頻度で,2本(34%)がそれに次いだ.(3)副腎静脈または性腺静脈が,腎静脈に流入する頻度は,右側ではそれぞれ2%と17%であり,左側では70%と90%であった.(4)腎摘出に際して,右側の場合は複数腎静脈の存在に,左腎の場合は,腎静脈へ流入する複数の静脈及びretro or circumaortic left veinの存在に留意することが肝要である.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 1988-08-20
著者
-
浅野 晴好
愛知県済生会病院泌尿器科
-
藤田 民夫
名古屋記念病院泌尿器科
-
浅野 晴好
泉谷ふれ愛クリニック
-
絹川 常郎
社会保険中京病院泌尿器科
-
竹内 宣久
社会保険中京病院泌尿器科
-
大島 伸一
社会保険中京病院泌尿器科
-
長谷川 総一郎
社会保険中京病院外科
-
小野 佳成
小牧市民病院泌尿器科
-
絹川 常郎
社会保険中京病院
-
梅田 俊一
粟山会飯田病院泌尿器科
-
松浦 治
社会保険中京病院
-
長谷川 総一郎
名古屋大
-
服部 良平
社会保険中京
-
平林 聡
小牧市民病院泌尿器科
-
浅野 晴好
名古屋済生会
-
梅田 俊一
飯田市民病院泌尿器科
-
大島 伸一
社会保険中京病院
関連論文
- 13.薄壁空洞を呈した子宮頚癌の肺転移の一例(第45回日本肺癌学会中部支部会)
- 泌尿器科癌骨転移に対する治療戦略 : 腎細胞癌と前立腺癌を中心として
- 前立腺肥大症による排尿障害に対するナフトピジルの臨床効果 : 多施設協同による有効性の検討
- stageB.C.前立腺癌の予後決定因子に関する統計学的検討
- Sigmoid neobiadderの臨床的検討
- 腎癌に対するインターフェロン療法について : 第41回中部総会 : シンポジウム : 進行腎癌に対する新しい治療法開発の試み
- 進行性前立腺癌に対するcisplatinum,peplomycin,adriamycinの三剤併用の臨床的効果
- 自然治癒したと思われる外傷後腎動静脈瘻の1例 : 第142回東海地方会
- 献腎移植の長期成績に及ぼす摘出前ドナー腎機能の影響 : 入院時血清クレアチニン値と心停止前尿量の検討
- MP-545 当院における経尿道的ホルミウムレーザー前立腺核出術(HoLEP)の臨床的検討(一般演題ポスター,第94回日本泌尿器科学会総会)